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【簿記3級】経過勘定項目とは?前払費用・未収収益・前受収益・未払費用の決算整理仕訳について解説!

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経過勘定項目とは?

当期において支払いや受け取りが行われる費用や収益には、次期以降のものが含まれていることがあります。

反対に、当期に費用や収益として計上すべきものが、支払いや受け取りが行われていないために費用や収益として記録されていないものもあります。

そこで、決算整理において当期に計上すべき費用と収益にするために修正する手続きが必要になります。決算においては前払費用・前受収益・未払費用・未収収益などの勘定を経過勘定項目といいます。

費用の前払い

当期に支払った費用の中に、次期以降の費用が含まれていることがあります。

例えば、保険料を向こう1年分支払った場合などが該当します。保険料は支払った時点でサービスが完結するものではなく、支払った期間は継続してサービスの提供を受けることができるので、未経過(まだ経過していない)分の保険料は当期の費用から減額する必要があります。

このとき、未経過の費用は前払費用(資産)勘定に振り替えます。

前払費用の決算整理仕訳

例 題

保険料12,000円は×1年9月1日に向こう1年分を支払ったものである。本日、決算にあたり、保険料の前払分を次期に繰り延べる。なお会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日までの1年間とする。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
前払保険料5,000保 険 料5,000

保険料12,000円には、次期の分が含まれています。そのため、決算において次期の分の保険料(費用)勘定を減額し、前払保険料(資産)勘定に振り替えます。

仕訳においては、どの勘定の前払分か判断するために具体的な科目を記入します。(例:前払保険料前払家賃など)

再振替仕訳

例 題

期首(×2年4月1日)にあたり、前期末の決算において計上された前払保険料5,000円について再振替仕訳を行う。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
保 険 料5,000前払保険料5,000

経過勘定項目の決算整理仕訳については、翌期首に再振替仕訳を行います。(決算整理仕訳の貸借逆仕訳)

収益の前受け

当期に受け取った収益の中に次期以降の分が含まれている場合もあります。そのときは次期以降の収益を計算して減額し、当期分の収益に修正します。

例えば、向こう1年分の家賃を受け取った場合などが該当し、未経過(まだ経過していない)分を当期の収益から減額します。

このとき、次期以降の収益を前受収益(負債)勘定に振り替えます。

前受収益の決算整理仕訳

例 題

受取地代12,000円は×1年9月1日に向こう1年分を受け取ったものである。本日、決算にあたり、受取地代の前受分を次期に繰り延べる。なお会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日までの1年間とする。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
受 取 地 代5,000前 受 地 代5,000

受取地代12,000円には、次期の分が含まれています。そのため、決算において次期の分の受取地代(収益)勘定を減額し、前受地代(負債)勘定に振り替えます。

仕訳においては、どの勘定の前受分か判断するために具体的な科目を記入します。(例:前受地代前受家賃など)

再振替仕訳

例 題

期首(×2年4月1日)にあたり、前期末の決算において計上された前受地代5,000円について再振替仕訳を行う。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
前 受 地 代5,000受 取 地 代5,000

経過勘定項目の決算整理仕訳については、翌期首に再振替仕訳を行います。(決算整理仕訳の貸借逆仕訳)

費用の未払い

当期に費用として計上すべきものが、支払いがいまだに行われていないため計上されていない場合は、当期の費用として計上する必要があります。

例えば、金銭を元利一括返済の条件で借り入れた場合がこれにあたります。返済日に元金と利息(費用)を支払うため、借入日から決算日までの当期に該当する分の費用が発生していると考えて、費用を追加計上する必要があります。

経過分の費用を追加計上するとともに、未払費用(負債)勘定を用いて処理します。

元利一括返済について詳しく知りたい方は次の記事を参考にしてください。

未払費用の決算整理仕訳

例 題

借入金1,200,000円は×1年9月1日に借入期間1年間、利率年1%、元利一括返済の条件で借り入れたものである。本日、決算にあたり、利息の未払分を見越計上する。なお会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日までの1年間とする。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
支 払 利 息7,000未 払 利 息7,000

支払利息12,000円は次期に支払います。そのため、決算において当期分の支払利息(費用)勘定を計上するとともに、貸方には未払利息(負債)勘定を記入します。

仕訳においては、どの勘定の未払分か判断するために具体的な科目を記入します。(例:未払利息未払営業費など)

再振替仕訳

例 題

期首(×2年4月1日)にあたり、前期末の決算において計上された未払利息7,000円について再振替仕訳を行う。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
未 払 利 息7,000支 払 利 息7,000

経過勘定項目の決算整理仕訳については、翌期首に再振替仕訳を行います。(決算整理仕訳の貸借逆仕訳)

収益の未収

当期の収益として計上すべきものが、その受け取りが行われていないために収益として計上されていないものについては、当期分の収益を計上する必要があります。

例えば、金銭を貸し付けた場合で、元利一括返済を受ける取引がこれに該当します。元金と利息は返済を受けるタイミングで受け取るため、貸付日から決算日までの受取利息は当期に発生していると考えて追加で収益を計上します。

当期の収益を追加計上するとともに、未収収益(資産)勘定を計上します。

未収収益の決算整理仕訳

例 題

貸付金1,200,000円は×1年9月1日に借入期間1年間、利率年1%、元利一括返済の条件で貸し付けたものである。本日、決算にあたり、利息の未収分を見越計上する。なお会計期間は×1年4月1日から×2年3月31日までの1年間とする。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
未 収 利 息7,000受 取 利 息7,000

受取利息12,000円は次期に受け取ります。そのため、決算において当期分の受取利息(収益)勘定を計上するとともに、借方には未収利息(資産)勘定を記入します。

仕訳においては、どの勘定の未収分かを判断するために具体的な科目を記入します。(例:未収利息未収手数料など)

再振替仕訳

例 題

期首(×2年4月1日)にあたり、前期末の決算において計上された未収利息7,000円について再振替仕訳を行う。

借 方 科 目金  額貸 方 科 目金  額
受 取 利 息7,000未 収 利 息7,000

経過勘定項目の決算整理仕訳については、翌期首に再振替仕訳を行います。(決算整理仕訳の貸借逆仕訳)

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