仕損とは?仕訳や経費処理の方法について

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製品を製造する過程で、加工などを失敗してしまうことも当然あります。その場合を仕損(しそんじ)といい、失敗したものにかかった原価を製品の原価に添加するなどの

この記事では、仕損が発生した時の管理会計上の考え方について解説します。

仕損とは?

仕損とは、製造工程における失敗(不合格品)のことです。製品の製造中、様々な原因で加工に失敗することがあります。そして、仕損によって生じた失敗作のことを仕損品あるいは仕損じ品と言います。仕損品は、品質基準を満たせないため通常製品と同様に販売することはできません。

仕損品は補修によって合格品となりますが、その補修のための原価を仕損費と言います。

また、代品を製造した場合に仕損品が売却可能であったり、利用価値があるときには、売却価額または利用価値の見積額を製造原価から差し引いた金額を仕損費とします。

仕損が発生した場合の会計処理は、その仕損が正常なものか異常なものかによります。

  • 通常の製造過程で不可避的に発生する仕損のことを正常仕損という
  • 通常発生する程度を超えて大量に発生する仕損を異常仕損という

正常仕損の処理について

正常仕損費の処理の種類としては、以下の2つが挙げられます。

  • 直接経費処理:当該指図書に賦課
  • 間接経費処理:仕損の発生部門に賦課

『原価計算基準』 三五 後段(一)
(一)  仕損費の実際発生額又は見積額を、当該指図書に賦課する。
(二)  仕損費を間接費とし、これを仕損の発生部門に賦課する。この場合、間接費の予定配賦率の計算において、当該製造部門の予定間接費額中に、仕損費の予定額を算入する。

直接経費処理

  • 補修のケース:補修すれば良品となる
  • 全部代替品のケース:全て改めて製品をつくる
  • 一部代替品のケース:失敗したものの分だけ作り直す
  • 指図書を発行しないケース
  • 軽微な仕損のケース

補修のケース:補修すれば良品となる

A製品(製造指図書No.10)について仕損が発生し、補修製造指図書No.10ー1を発行して補修を行った。この補修には材料80,000円と労務費50,000円が消費された。

借   方金   額貸   方金   額
仕 掛 品
(No.10−1)
130,000材   料
労 務 費
80,000
50,000

仕損費勘定への振替:仕損費勘定を製造間接費勘定へ振り替え

借   方金  額貸   方金   額
仕 損 費130,000仕 掛 品
(No.10ー1)
130,000

仕損費を直接経費として処理:仕損費勘定を仕掛品勘定(製造指図書No.10)へ振り替える

借   方金   額貸   方金   額
仕 掛 品
(No.10)
130,000仕 損 費130,000

全部代品のケース:全て改めて製品をつくる

A製品(製造指図書No.10)の製造途中にその全部に補修不能な仕損が発生したため、代品製造指図書No.10ー1を発行した。なお、仕損品評価額は仕損品原価の20%とする。
製造指図書に集計された製造費用 No.10:50,000円 No.10ー1:100,000

借   方金   額貸   方金   額
仕 掛 品
(No.10−1)
40,000仕 掛 品
(No.10)
50,000
仕 損 品10,000

一部代替品のケース

A製品(製造指図書No.10)の製造途中にその一部に補修不能な仕損が発生したため、代品製造指図書No.10ー1を発行した。なお、仕損品評価額は仕損品原価の20%とする。
製造指図書に集計された製造費用 No.10:50,000円 No.10ー1:100,000

借   方金   額貸   方金   額
仕 掛 品
(No.10)
40,000仕 掛 品
(No.10ー1)
50,000
仕 損 品10,000

製造指図書を発行しないケース

A製品(製造指図書No.10)の製造途中にその一部に仕損が生じ補修を行ったが、製造指図書は発行していない。なお、仕損費の見積額は500円である。

借   方金   額貸   方金   額
仕 掛 品
(No.10)
500製造間接費500

軽微な仕損のケース

A製品(製造指図書No.10)の製造途中に軽微な仕損が生じたが、その評価額を製造指図書から控除するにとどめた。なお、仕損品評価額は500円である。

借   方金   額貸   方金   額
仕 損 品500仕 掛 品
(No.10)
500

間接経費処理

1)間接経費処理の前提

  • 仕損の発生度合いが極めて正常的であること
  • 発生部門(仕損発生の原因がある製造部門)が明らかであること

2)処理の内容

  • 予算編成時:仕損費の予算額を発生の予想される製造部門の予算額の中に算入しておくこと(間接費の予定配賦率の中に仕損費予算額を含める)
  • 期中:当該製造部門の加工を受ける製品に仕損費を含む間接費を配賦する
  • 実績測定期:発生原因となった製造部門に、仕損費の実際発生額を賦課する

3)目的

  • 財務諸表作成目的
    仕損費の発生が予想される製造部門の加工を受ける製品全てに、配賦基準数値単位あたりで均等に仕損費が配賦されるため、比較性の高い製品原価を算定できる。
  • 原価管理
    仕損費の実際発生額を発生原因のある製造部門へ賦課するため、仕損発生に関する原価責任を明らかにできる。(予算差異の内訳として、仕損費を原因とする差異を算定する)

間接経費処理の会計処理

製造指図書No.10は第2製造部門において、一部が補修不能な仕損となり、代品製造指図書No.10ー1を発行した。第1製造部門費の予算額は5,000円、基準操業度は100作業時間であり、その予算額には、第2製造部門で発生する仕損費の予算額750円が含まれている。製造指図書の作業時間は、No.10:80時間、No.10ー1:10時間 であった。なお、仕損品の評価額は仕損品原価の20%とする。
製造指図書に集計された製造費用 No.10:10,000円 No.10ー1:1,000(どちらも第2製造部門費を含む)

原価計算表の作成

摘   要No.10No.10ー1
直接材料費XXXXXX
(省略)
第2製造部門4,000500
小   計10,0001,000
仕損費評価額△200
仕 損 費△800
合   計10,0000
備   考第2製造部門に振替

間接経費処理においては、仕損費の実際発生額を発生部門に振り替えます。

借   方金   額貸   方金   額
第2製造部門

仕 損 品
800

200
仕 掛 品
(No.10ー1)
1,000