「簿記の資格があれば就職に有利」とか、「簿記の資格を持っておいて損はない」といった話を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。
この記事では、簿記とはどのようなことを勉強する分野なのか、また、簿記の資格にはどのようなメリットがあるのかについて解説します。
簿記とは何か知りたい
簿記を学ぶメリットを知りたい
何時間勉強すれば合格するのか知りたい
簿記とは?
簿記とは、一般に次のように定義されます。
企業の日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能のこと
経営成績…?財政状態…?聞きなれない言葉が出てきました。
経営成績は「いくら利益が出たのか」を、財政状態は「お金(資産)や借金(負債)がどれだけあるか」を表します。
経営成績:一定期間における利益の状況
財政状態:一定時点の資産・負債などの状況
このように、企業は「いつ」・「何に」・「どれだけ」会社のお金が動いたかを記録・計算・整理することで、今年はどれくらい儲けたのか、どれだけお金や借金が残っているのかを明確にすることができます。
簿記とは、企業の儲け(経営成績)や、保有している現金・借金の状況(財政状態)を把握するため必要不可欠な知識であるといえます。
簿記の資格を取得するメリットとは?
結論からいうと、簿記を学ぶメリットはたくさんあります。ここでは、そのうち3つについて紹介します。
就職や転職に活かせる
簿記の勉強をすれば、会社の財務の状況を把握することができます。そうした力は、会社の経理や会計の仕事をおこなう上で必須のスキルです。
また、例えば営業職だったとしても、企業の売上やコストを読み取ることで、より理論的な提案を行うことが可能です。さらには公務員の場合でも、所属する自治体の財政の健全性を判断し、改善を推進する力のある人は貴重な人材と言えるでしょう。
他の資格にもつながる
簿記の資格を取得することで、その後のステップアップに繋げることができます。
例えば、簿記1級を取得すれば、税理士試験を受験することができます。また、簿記1級は公認会計士試験と同等のレベルの知識が求められるので、簿記の勉強が役立つと言えるでしょう。
また、中小企業診断士、FP(ファイナンシャルプランナー)などは簿記と相性の良い資格であり、ステップアップの候補となるでしょう。さらには、情報系の資格であるITパスポートでも会計の分野は出題されています。
お金を管理するための知識が身につく
簿記には管理会計という分野があり、支出を「変動費」と「固定費」という項目に分けて管理することで、会社の利益を分析することがあります。
これは、例えば家計でも同じことで、生活費を分類して、要点を押さえて管理できれば、家計の改善に向けたアクションにつなげることができます。
現代において、お金に関わらない人は存在しないと言っていいでしょう。そのため、簿記は多くの人にとって学ぶメリットがあるといえます。
就職や転職に活かせる
他の資格にもつながる
お金を管理するための知識が身につく
試験内容と資格取得に必要な勉強時間
簿記3級から1級の内容と、資格の合格に必要な勉強時間の目安を紹介します。(※あくまで目安です)
ここでは、日本商工会議所主催の簿記検定について記載しています。
簿記3級について
簿記3級の合格率は、40~50%程度で、比較的易しい内容の試験といえるでしょう。ただし、内容は専門的なので十分な学習が求められます。
内容は商業簿記のみとなっています。
商業簿記は現代のビジネス社会に即した内容のため、「社会人に必須の知識」が身につきます。
簿記3級の合格に必要な勉強時間は、約100時間と言われています。ただし、これはまったく知識のない人が勉強を始める場合で、予備知識があればさらに短い時間で合格を目指せるでしょう。
小規模な会社の経理実務ができる
簿記の基本的な考え方が身に付く
簿記2級について
2級は3級よりも学習範囲が広く、合格率は15~30%程度です。3級に比べると合格率が大きく下がっていることがわかります。
また、商業簿記に加えて工業簿記も試験範囲となります。
商業簿記では連結会計や為替の仕訳があるなど、より会計の現場に即した複雑な内容が多くなっています。また、工業簿記では在庫の棚卸など、工場をはじめとした製造現場に関する仕訳が出題されます。
簿記2級は、簿記3級に比べ難易度が高い分、どんな職種でも役立つ広い知識を習得でき、就職や転職にも大きく役立つでしょう。
財務諸表から経営内容を把握できる
企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析ができる
簿記2級は350〜500時間程度の勉強が目安となっており、商業簿記に加えて、工業簿記も試験範囲となるため、比較的多くの勉強時間が必要になります。
簿記1級について
簿記1級の難易度は税理士試験と同じくらいと評価され、専門的な勉強をした人でも合格はかなり難しく、合格率は10%程度となっています。
出題範囲は、商業簿記と工業簿記に加えて会計学や原価計算が含まれます。
会計基準や会社法、財務諸表等規則など企業会計の現場で使われる高度な内容となります。
企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができる
公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門
勉強時間は600時間以上の勉強が必要とされていますが、独学で勉強する場合や講座を受講する場合、前提となる知識の習熟度などによって異なると考えられます。
まとめ
この記事では、簿記や資格の内容や勉強時間についてまとめました。
簿記は就職や転職、他の資格へ挑戦するきっかけになるなど、様々なことに役立つ資格です。お金にかかわらない人はほとんどいない今の時代において、学んでおくべき資格だと思います。
また、資格を取得しなくても簿記の知識があるだけで仕事やキャリア形成に役立つはずです。
お金に強くなりたい人や興味のある人はぜひ学んでみてください。
商業簿記は 一般的な企業や店舗などで幅広く利用される会計処理方法のことで、小規模な株式会社の経理実務を前提とした内容を学習します。