この記事で解決できる悩み
- 貸倒れとは?
- 貸倒れの一連の取引を理解したい
- 簿記3級を独学で勉強したい
貸倒れとは?
貸倒れとは、得意先に対する売上債権が、相手方の倒産などによって回収できなくなることをいいます。
貸倒れが発生した場合は、その債権を帳簿から消去する処理が必要になります。
★ 売上債権
後で代金を受け取る権利のことを債権といいます。また、商品売買によって生じる「売掛金」、「クレジット売掛金」、「受取手形」、「電子記録債権」を売上債権といいます。
貸倒れの処理
貸倒れが発生した場合は、売掛金などの債権が回収不能となるため貸方に記入します。そして、借方には貸倒損失(費用)勘定を記入します。
得意先が倒産し、同社に対する売掛金150円を貸倒れとして処理する。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒損失 | 150 | 売掛金 | 150 |
貸倒れの見積り(決算整理)
売上債権を扱う場合は、「債権が回収できない(貸倒れが発生する)かもしれない」と考えて、それに備える必要があります。
そこで、期末に売上債権の残高がある場合は、次期の貸倒れの見積額を計算して貸倒引当金(資産の評価勘定)勘定を用いて仕訳をします。
★ 貸倒引当金
得意先の倒産(貸倒れ)に備えて準備した金額のことをいいます。
貸倒引当金とは?
- 貸倒れに備えて用意しているお金というイメージ。ただし、通貨などの現金ではない。
- 売上債権の残高に一定の割合(貸倒実績率)を乗じて計算する
また、借方には貸倒引当金繰入(費用)勘定を記入します。
決算において、売上債権の期末残高10,000円に対して、実績率を3%として貸倒れを見積もる。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒引当金繰入 | 300 | 貸倒引当金 | 300 |
計算式:10,000円 × 3% = 300円
貸倒れ見積額の計算方法
- 売上債権の期末残高 × 貸倒実績率 = 貸倒れ見積額
貸倒れの処理(貸倒引当金が設定されている場合)
貸倒引当金 > 回収不能額 の場合
売掛金などの貸倒れが発生したときに、回収不能額よりも貸倒引当金の残高が多い場合は、貸倒引当金を取り崩して充当するため、借方に貸倒引当金(資産の評価勘定)勘定を記入します。
得意先が倒産し、同社に対する売掛金250円を貸倒れとして処理する。なお、貸倒引当金の残高が300円ある。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒引当金 | 250 | 売掛金 | 250 |
貸倒引当金 < 回収不能額 の場合
貸倒引当金の残高が回収不能額よりも少ない場合は、引当金の足りない分を貸倒損失(費用)として借方に記入します。
得意先が倒産し、同社に対する売掛金250円を貸倒れとして処理する。なお、貸倒引当金の残高が150円ある。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒引当金 貸倒損失 | 150 100 | 売掛金 | 250 |
差額補充法による貸倒れの見積り(決算整理)
決算日に貸倒引当金を見積もって計上しますが、貸倒引当金の残高がある場合には、貸倒れの見積額から貸倒引当金の残高を差し引いた差額(不足分)を計上する方法があります。これを差額補充法といいます。
決算において、売上債権の期末残高10,000円に対して、実績率を2%として貸倒れを見積もる。なお、貸倒引当金の残高が50円ある。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒引当金繰入 | 150 | 貸倒引当金 | 150 |
差額補充法による貸倒引当金の計算方法は次のようになります。
計算式:(10,000 × 2% )ー 50 = 150
差額補充法による計算方法
- (売上債権の期末残高 × 貸倒実績率) – 貸倒引当金の残高 = 貸倒れ見積額
当期販売分の債権が貸倒れた場合
当期の売買取引で発生した売掛金が貸し倒れた場合には、貸倒引当金の残高の有無に関わらず、全額を貸倒損失(費用)勘定として処理します。
当期に発生した債権については、まだ決算を経ておらず、前期末の見積もりには含まれていないためです。
得意先が倒産し、同社に対する当期販売分の売掛金80円について貸倒れとして処理する。なお、貸倒引当金の残高が200円ある。
| 借方 | 貸方 | ||
| 貸倒損失 | 80 | 売掛金 | 80 |
当期販売分の売掛金の貸倒れについては、貸倒引当金は使用しない点に注意しましょう。
前期以前に貸倒れ処理した債権を回収した場合
前期以前に貸倒れとして処理した債権を回収した場合は、償却債権取立益(収益)勘定を貸方に記入します。
前期に貸倒れとして処理しているため、売掛金勘定は消去済みのため帳簿には存在しません。そのため、貸方は売掛金勘定ではなく償却債権取立益で処理します。
前期に貸倒れとして処理していた得意先に対する売掛金180円を現金で回収した。
| 借方 | 貸方 | ||
| 現金 | 180 | 償却債権取立益 | 180 |
貸借対照表の表示
貸倒引当金は資産の評価勘定になります。資産の評価勘定とは、資産の金額を評価し直して、資産額を修正するための勘定科目です。資産の評価勘定を考慮することで、回収できると予想される金額に修正することができます。

貸借対照表上は、売上債権の金額から貸倒引当金の金額を控除した額を記入します。
練習問題
次のア〜エに当てはまる勘定科目または金額を答えなさい。? については各自推定すること。
- 得意先A社が倒産し、前期発生の売掛金1,000円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高はない。
- 決算にあたり、売上債権の期末残高25,000円に対して、4%の貸倒引当金を見積もる。
- 得意先B社が倒産し、前期発生の売掛金800円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高が1,000円ある。
- 決算にあたり、売上債権の期末残高30,000円に対して、3%の貸倒引当金を差額補充法により見積もる。なお、貸倒引当金の残高は200円である。
- 得意先C社が倒産し、当期発生の売掛金600円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高が900円ある。
- 得意先D社が倒産し、前期発生の売掛金1,200円が回収不能となった。なお、貸倒引当金の残高が900円ある。
- 倒産したB社に対する売掛金800円について前期に貸倒れとして処理していたが、本日、全額を現金で回収した。
| 借方 | 貸方 | |||
| 1 | (ア) | 1,000 | 売掛金 | 1,000 |
| 2 | (イ) | ? | (ウ) | (エ) |
| 3 | (オ) | 800 | 売掛金 | 800 |
| 4 | ? | (カ) | ? | ? |
| 5 | (キ) | 600 | 売掛金 | 600 |
| 6 | ? (ク) | 900 300 | 売掛金 | 1,200 |
| 7 | 現金 | 800 | (ケ) | 800 |
- 貸倒損失
- 貸倒引当金繰入
- 貸倒引当金
- 1,000
- 貸倒引当金
- 700
- 貸倒損失
- 貸倒損失
- 償却債権取立益



コメント