簿記検定

【簿記1級】売価還元平均原価法とは?原価率の計算方法や期末商品の評価方法について解説!

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売価還元法とは

売価還元法とは、棚卸資産の評価方法の一つで、棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法をいいます。

多様な品目を扱う小売業(百貨店やスーパーマーケットなど)や棚卸業(メーカーと小売業の中間に位置する)を中心に活用されているのが売価還元法です。

(4) 売価還元法
値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法
売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用される。

引用:棚卸資産の評価に関する会計基準

売価還元法による評価方法

原価率は仕入れた全ての商品(期首商品を含む)が売価(値札)どおりに売却されたと仮定したときの、原価と売価の平均的な比率を意味します。

原価率の計算

原価率は事業年度を通じたものである必要があるため、次のようなデータをもとに計算します。

仕入原価販売価格
期 首 商 品100150
当期仕入高600
原始値入額200
値 上 額90
値上取消額▲30
値 下 額▲20
値下取消額10
売 上 高800

原価率は原価を売価で除して計算します。よって、数値例の場合、原価率は70%となります。

原始値入額
仕入原価に最初に上乗せした利益のこと。そこから、値上げと値下げを行った場合はその金額を加減。 値上げと値下げの取り消しがあった場合は、その額から取消額を控除する。

期末商品の評価

期末棚卸資産の売価に原価率をかけて棚卸資産の期末評価額を計算します。

仕入原価販売価格
期 末 商 品(要解答)200

よって、期末商品棚卸高(原価)は140(200×70%)となります。このように、売価還元法は原価率に基づいて期末商品を評価する方法になります。

また、売価還元低価法による計算についても出題されると考えられます。次の記事で解説しているので、合わせてご覧ください。

例題

以下のデータをもとに、ア. 棚卸減耗損、イ. 商品評価損、ウ. 貸借対照表に計上される商品の金額を計算しなさい。なお、棚卸資産の評価に関しては売価還元平均原価法を採用している。

  1. 期首商品棚卸高(原価):109,200千円
  2. 期首商品棚卸高(売価):145,600千円
  3. 当期商品仕入高:709,800千円
  4. 原始値入額:266,920千円
  5. 期中値上:98,300千円
  6. 期中値下高:62,960千円
  7. 期中値上取消額:57,440千円
  8. 期中値下取消額:37,280千円
  9. 期末商品実地棚卸高:132,000千円
  10. 期末商品正味売却価額:84,000千円
  11. 当期売上高:1,000,000千円

原価率の計算

期首商品(原価)と当期仕入高(原価)の合計に対する売価をもとに原価率とします。

棚卸減耗損と商品評価損の計算

棚卸減耗損(費用)勘定は、期中に発生した商品の紛失や破損等により、実際の棚卸資産が帳簿価額より減っているときに計上する損失のことです。

また、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額とします。取得原価と当該正味売却価額との差額は当期の費用として商品評価損(費用)勘定で処理します。

(ア):(137,500ー132,000)×72%
(イ):132,000×72%ー84,000
(ウ):132,000×72% > 84,000 ∴ 84,000

正味売却価額は84,000円と取得原価(95,040円)より下落しているため、正味売却価額を持って貸借対照表価額とします。その差額が商品評価損となります。

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